愚直論 書評 [読書]
ブックオフの100円コーナーで仕入れた本にしては、なかなか良かった。
恐らく、ダイエーの社長に就任する直前にだした本だから、ダイエーを買収したアドバンテッジパートナーズなんかが仕掛けたダイエー復活のためのPRのために出した本なんだろうけど。
けっこう共感できる人だなぁというのが印象。
・地味な仕事をしていた松下時代
・ギリギリの生活を送ったハーバード時代
・ぶっ倒れるまで極限状態で働いてたBCG時代
・HPに買収されたコンパック時代
一見、日系の大企業→MBA→戦略コンサル→外資メーカーのCEO
に上り詰めたキャリアは華やかに見える。
しかし、その中身はそれほどキレイでもスマートでもなく、意外と
泥臭い部分も十分経験している人らしい。
(→そこがダイエーの社長に抜擢された理由の一つか?)
これを読んで、彼が今後どういうふうにダイエーをターンアラウンドさせるか楽しみになってきた。
しかしながら、彼はこれまで経験したことない壁にぶちあたると私は思っている。
彼がこれまで動かしてきた外資メーカーと、ダイエーの決定的な差が大きな壁と立ちはだかるのは
間違いない。
すなわち、”人材力”だ。
日本の小売の人材力は、どこも相当低い。
なぜか。考えてみれば分る。
優秀な大学の学生が希望する就職先は、たいて金融かメーカーなどである。
早慶や東大を出て、小売業に入る学生は相当少ない。
特に、バブル入社(買い手市場だった」)のいまのミドル層にあたる年代ではその数は今の割合よりも相当少ないだろう。
樋口氏やファンドの人間がどんなにいい戦略を描いても、それを実行に落とし込むのに時間がかかるだろう。そうしたスピードの遅さにダイエーが持ちこたえられるのか?
お手並み拝見である。
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